2021 成長への展望

中部電力社長?林欣吾さん 新たな技術で火力の脱炭素化に挑む

 --コロナ禍で働き方改革を進めている

 「新型コロナウイルスの影響で社員の意識も働き方も変わってきた。在宅勤務や時差出勤だけでなく、会議や出張にしても、仕事のやり方を再点検し、見つめ直すことができた。それを受けて今、社内にワーキンググループをつくって、効率的で快適な新しい働き方の検討を進めている。まず、社内の意識を変える必要があるし、設備対応や社内ルール、労働条件、勤務形態など幅広く検討している」

 --社会構造の変化をビジネスチャンスと捉えている

 「電力、ガスのエネルギー事業以外にも、ICT(情報通信技術)を活用した生活支援サービスの事業化を考えているが、生活様式など社会構造や産業構造の変化によって、こうした新しいビジネスの可能性は広がる。昨年から慶応大学病院と共同で妊婦検診や糖尿病?肥満症の遠隔診療を始めており、スマートメーターを活用した遠隔医療、子供や独居老人の見守りなど、コミュニティーサポートインフラという新しい価値を創造するサービスの普及は加速すると思う」

 --政府が宣言した2050年の温室効果ガス排出実質ゼロへの取り組みは

 「現在270万キロワットの再生可能エネルギーによる発電能力を、20年代後半にさらに200万キロワット増やす計画は、けっこうチャレンジングだ。しかし、今後高度化する蓄電技術と組み合わせても、日本の電力をすべて再エネにするのは現実的には無理がある。そうすると、既存原子力発電所の活用が不可欠だが、再エネと原発の2つだけでもむずかしく、火力発電の脱炭素化が必要だ。当社と東京電力の火力発電事業を統合したJERA(ジェラ)は、火力燃料にCO2を出さないアンモニアを活用する50年までのロードマップを出しており、火力の脱炭素化にも挑む」

 --脱炭素化は可能ということか

 「日本として待ったなしの課題であり、エネルギー事業者の使命としてチャレンジしていく。再エネの拡大、原発の活用に加えて、今はできなくても火力の燃料変換やCO2の有効活用?封じ込め技術などの新たなイノベーションを駆使していけば、必ず道は開けると思う」

 --浜岡原発再稼働の見通しは

 「当社の使命である安定供給、新サービス提供、脱炭素化の3つを同時達成するには、浜岡が不可欠だ。安全審査も次のステップに進めると考えており、再稼働に向けすべての取り組みをギアチェンジする」

【プロフィル】林欣吾 はやし?きんご 京大法卒。1984年中部電力入社。執行役員お客様本部部長、同東京支社長、専務執行役員販売カンパニー社長、取締役同を経て、2020年4月から現職。三重県出身。

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