2021 成長への展望

帝人社長?鈴木純さん 先が見えぬ時代、まずは現状認識を

 --昨年は世界中が新型コロナウイルスに振り回された

 「社会が(コロナ)以前の状態を取り戻すまでにはもう少し時間がかかるだろう。収束したとしても、完全には元に戻らないとみている。ワクチンへの期待が高まっているが、過度な期待は禁物で、この先どうなっていくか分からない。昨年の緊急事態宣言と違い、今回は気が緩んでいる観があるのも気掛かりだ」

 --新型コロナの世界経済への影響をどうみる

 「世界的に見ると、富める国と富めない国とでは影響度合いがかなり違う。欧米の場合、ダメージを受けてはいるが、実体経済そのものはそれほど傷ついておらず、飲食や観光以外の業種は何とかしのいでいる。それに対し、新興国は飲食や観光への依存度が高い。一方、中国経済だけは好調なので、今後はその影響力がさらに強まるのではないか」

 --2020年度に始動した中期経営計画の修正は

 「中計では、20年度からの3年間を将来の成長基盤を確立する時期と位置付けている。そうした中計の基本的な考え方や戦略は新型コロナの存在があるからといって変わらない。環境負荷低減の取り組みを強化する点なども同様だ。むしろ未来の社会を支える会社になるという動機が補強され、環境やデジタル化、医療に力を入れたいとの欲求がさらに強まった」

 --コロナ禍の下でも業績はあまり悪化していない

 「さまざまな事業を展開していると、多角化効果で業績的には安定しやすい。当社の場合、マテリアル事業の低迷をヘルスケア事業やIT事業がしっかり支えた。医療用ガウンの特需もあった。そこは肯定的に受け止められる」

 --航空機向けの炭素繊維は打撃が大きい

 「一般的に、航空需要が回復するのは24年度以降といわれているが、いったん人の移動が戻ったらすごい勢いで元に戻ると思っている。現状のペースなら回復時期は24年度までかかると思うが、ワクチンなど何かしらの方法で新型コロナが収束し、ある程度大丈夫となれば前倒しされる可能性がある」

 --新年を迎えて社員に訴えたいことは

 「先が見えない時代だからこそ、まずはきちんと現状を認識すべきだ。次に大事なのは行動すること。閉じた世界に引きこもっていたら駄目だ。リスクを取らずに今までの事業環境にとどまるという考えでは、不確実な世界には適応できない。イノベーティブな価値提供のためにきちんとリスクテークした試みであれば、うまくいかなくても失敗とは思わない」

【プロフィル】鈴木純

 すずき?じゅん 東大院理学系研究科修了。1983年帝人入社。取締役常務執行役員などを経て、2014年4月から現職。東京都出身。

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