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中国「孤独の十等級」から見る若者の孤独

 人との接触を避け、距離を取り、会話は少なめにして無言が良い…。感染症というのは、人間本来の行動形態を破壊する。人と接するな、という状況下で起きてくるのが「孤独との闘い」である。日本の場合、まずは高齢者たちを直撃した。人と接触せず、ひたすら家にこもるうちに、認知症を引き起こすこともある。アルコール依存症に陥る中高年も増えているそうだ。もちろん青年や壮年でも、家で過ごす時間が増えると、家族間での軋轢(あつれき)も増え、孤独感が増していく。(ノンフィクション作家?青樹明子)

 孤独に関して言うと、中国人は新型コロナウイルス以前から、孤独との折り合いを探ってきた。特に、2億を超えるとされる独身者たちの孤独は、社会問題ともなっている。

 そうしたなか近年ネット上で出回っているのが「孤独の十等級」というランキングである。その中身は、(全て一人で)ショッピングモールに行く?ファストフードに行く?カフェに行く?映画館に行く?火鍋に行く?カラオケに行く?海に行く?遊園地に行く?引っ越しをする?手術を受ける…以上。

 寄せられたコメントを見ると「こんなの少しも怖くない」「自分は全てクリアだ」という声が多いが、コロナで病院がクローズアップされているためか、最後の項目「一人で病院に行き、一人で手術を受けるときの孤独」がとりわけ注目されている。

 同じ病院でも、日本と中国では事情が違う。看護師さんやスタッフが丁寧にケアしてくれる日本と違い、中国の病院は患者本人が処理しなくてはならないことも多い。

 「手術当日、一人で医者と意思確認し、一人で承諾書にサインし、一人で順番を待ち、一人で手術台に上がり、一人で麻酔をされ、術後は一人でタクシーを拾って帰り、一人で術後の注意書きを読み、一人で包帯などを取り換える。これらを完璧にこなせるようになったら、孤独の達人だ!」

 そんな達人たちでも、さすがにロックダウン(都市封鎖)中の孤独感は半端ではない。なかでも、「小皇帝」と称される若者の孤独感が気になる。

 「毎日オンライン授業ばかり。運動も遊びも全てオンラインで、長い間誰とも話をしていない。今日は久々に理髪店に行く。本当に楽しみだ」

 「孤独感にさいなまれている。周囲には友達の一人とていない。早く学校に行きたいと思っていたが、今はそれも面倒になった。改めて思うが、試験漬けの生活は何のためなのか。外出禁止のなか、生きることの意義を考えさせられた」

 一人で手術台に上るのもいとわない彼らも、厳格なロックダウンのなかで感じる孤独は、人生を再考させるレベルのものだったようだ。

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